《写真》汚き八月のパリ

パリは美しい街……というのは神話にすぎない。パリの地下鉄(メトロ)のチケットは改札から出るときには必要がない。入る時にはもちろん必要だが、日本と同じようにチケットは手元に戻ってくる。ここで何が問題なのかと言うと、地下鉄を使うたびに自分の手元にいらなくなったチケットが残ってしまうということである。日本人なら持ち帰って処分をするところだが、パリジャン&パリジェンヌは違う。びりびりにして床にポイと捨てるわけである。そのため、夜の地下鉄の駅などは、一日分の廃棄されたチケットで改札前の床が覆われている。非常に汚い。だから治安が悪そうな感じがするし、一緒にパリに行った人の中には、「パリは汚いから嫌だ」という人もいた。だからどうした。汚いが、人間が確かに生きている街、というような実感がわいてくるじゃあないか。確かにパリの本当の姿は汚いが、わたしは大好きである。

ところで写真はわりときれいな、パリは「フランクリン・ルーズベルト駅」のホーム。あまりにアメリカンな名前にツッコミどころありという感じだが、これでもシャンゼリーゼ通りの近くだし、転落防止の自動ドアもついているし、許してあげよう。

(撮影&文章:KEBAB)